御蔵島には野生のイルカがたくさん棲みついています。
この島は林業が盛んで主な生業であったため、漁業の邪魔になるイルカの駆除が行われなかったためと聞いています。
人がイルカと共に戯れる映像を見てから約4か月、御蔵島ドルフィンツアーの解禁が3月に迫っていました。水温約15度、これは9度を経験した私にとってはぬるま湯のようなもの、3月半ばの最初のツアーに躊躇なく申し込みました。
問題なのは天候で、桟橋しかないこの島は、少しでも海が荒れると着岸できません。まず、島に足を踏み入れることが第一の関門、3月の就航率は3割。運よく着岸しても、海が荒れてきたらイルカ船が出ない、これが第2関門。この二つをクリアして、夢は叶うのです。
そしてその3月、私の憧れは体現されました。
私の体力も、不足はありませんでした。
大きなイルカの白い身体、何頭も何頭もやってきます。表情やしぐさ、雰囲気などがそれぞれ異なり個体差が大きいのはやはり、知能の高い生き物なのでしょう。
歯をカチカチと鳴らして威嚇してくるもの、目を合わせるとスピードを落として並走してくれるもの、なかには無防備に仰向けになってお腹を見せてくれるもの、レーサーみたいに通り過ぎていくもの…。
イルカたちは個体認識され、それぞれに名前が付いています。
初めてのことで、個体認識などする余裕はなかったけれど、とてもリラックスして泳げたことを、よく覚えています。
イルカのおなかの下に入ると、彼らはよく反応して、遊んでくれました。
この年は4回ほど申し込み、すべて着岸できました。
野生の、これほど大きな動物とこんな風に触れ合える、そんな体験は他にありせん。本当に貴重な体験です。
私の一番好きな動物は熊ですが、これと戯れるわけにはいきません。
先に着岸することが難しいと書きましたが、当然、帰りの船が着岸出来ないことも多いのです。そんな時はヘリコプターか、漁船で三宅島へ渡るしかありません。私は最初の訪島の帰りに漁船の洗礼を受けました(笑)。ジェットコースターのごとく揺れる船、狭い船室は身動きできず、吐いてしまう人も。約40分間の苦行も、ドルフィンツアーの醍醐味でしょうかね。
努力して夢を叶える、そんな体験にもなりました。
以来、毎年のように通っています。
当たり前ですが、夏は楽ですね(笑)。
素潜りができなくても、浮かんでいるだけでもイルカは寄ってきてくれますので、皆さんも、是非、体験されてはいかかでしょうか。

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